ここ数年、ニュースで度々目にするようになった「大規模な道路陥没」。 大都市の交差点や幹線道路のアスファルトが突然崩れ落ち、ぽっかりと開いた巨大な穴へ信号機や車両が飲み込まれていく……。あの衝撃的な映像は、私たち建設関係者の心胆を寒からしめました。
「うちはあんな大規模なトンネル工事はしていないから関係ない」 そう言い切れるでしょうか?
実は、規模の大小こそあれ、道路陥没のメカニズムは共通しています。その多くは「地中の空洞化」が原因です。そして、私たちが日常的に行っている雨水排水路の施工不良(ヒューム管の継ぎ目からの土砂吸い出し等)こそが、数年後にこの「地中の空洞」を生み出す主要な要因の一つになり得るのです。
見えない場所の施工ミスが、ある日突然、地域住民の安全を脅かす凶器に変わる。
だからこそ、ヒューム管設置における「品質管理」は、企業の信頼だけでなく、地域の安全を守る最重要課題なのです。
本記事では、数多くの現場を経験してきたプロの視点から、「5年後、10年後も沈まない現場」を作るためのヒューム管設置工事のポイント、特にトラブルを未然に防ぐ品質管理の勘所について解説します。
なぜ雨水排水路に「ヒューム管」が選ばれるのか?

そもそも、なぜ多くの雨水排水路で塩ビ管(VU管等)ではなく、重量のある「ヒューム管」が採用されるのでしょうか?
結論から言えば、「圧倒的な外圧強度」と「耐久性」が必要だからです。
厳しい環境に耐えうる「剛性管」
近年は軽量で扱いやすい塩ビ管やリブ管も普及していますが、これらは土圧や輪荷重(車両の重さ)でたわむ可能性がある「たわみ性管」です。
一方、鉄筋コンクリート構造であるヒューム管は「剛性管」に分類されます。 以下のような過酷な条件下の現場では、ヒューム管の強度が不可欠となります。
・土被りが浅い現場: 大型車両の荷重が管にダイレクトに伝わる場合
・土被りが極端に深い現場: 土の重み(土圧)が非常に大きい場合
・長期的な耐久性が求められる公共インフラ: 50年以上の供用を目指す場合
「重くて施工が大変」というデメリットはありますが、それを補って余りある「壊れにくさ」という信頼が、ヒューム管が選ばれ続ける理由です。
失敗事例から学ぶ!施工トラブルの2大原因

ヒューム管自体は非常に頑丈な製品です。 しかし、どれほど良い材料を使っても、施工方法を誤れば数年で不具合が発生します。
雨水排水路工事で発生するトラブルの多くは、実は以下の2つのパターンに集約されます。逆に言えば、この2点を徹底的に管理することで、トラブルの大半は未然に防ぐことができます。
① 不同沈下による「管のズレ・破損」
最も多いのが、管を支える地盤や基礎が不均一に沈んでしまう「不同沈下」です。
ヒューム管は「剛性」が高いため、曲がる力には強くありません。基礎の一部が沈下すると、管の継ぎ目に無理な力がかかり、口が開いてしまったり、最悪の場合は管自体にクラック(ひび割れ)が入ったりします。 これにより、本来流れるはずの水が流れなくなる「逆勾配」が発生することもあります。
② 接合部からの「漏水」と「吸い出し」
これは道路陥没事故の直接的な原因となりうる、非常に危険な現象です。
管と管の接合(目地)が甘いと、そこから雨水が地中に漏れ出します(漏水)。
さらに恐ろしいのが、管の中に土砂が入り込む「吸い出し現象」です。
1.接合部の隙間から、地下水と共に周囲の土砂が管内に侵入する。
2.管の周りの土が減り、地中に空洞ができる。
3.空洞が大きくなり、地表のアスファルトを支えきれずに陥没する。
これらはすべて、「基礎工」と「接合工」という、施工の基本における管理不足が原因です。
プロはここを見ている!ヒューム管設置・品質管理の3つの要点

ここからは、実際に現場で管理すべき具体的なポイントを3つの工程に分けて解説します。これらを徹底するだけで、施工品質は劇的に向上します。
【要点1:基礎工】「床付け」の精度がすべての土台
「管を据えれば見えなくなるから」と基礎をおろそかにするのは、最も危険な行為です。ヒューム管の安定性は、すべて基礎で決まります。
過掘りの禁止と処理
掘削時は計画高さを厳守します。もし誤って掘りすぎてしまった場合(過掘り)、安易に掘った土で埋め戻してはいけません。撹乱された土は支持力が低下しているため、必ず砕石や良質土で置き換え、入念に締め固める必要があります。
基礎材の均し(ならし)精度
基礎砕石や砂の厚みが不均一だと、管にかかる応力が集中し、破損の原因になります。特に管底部分が地盤に均等に接しているかを確認することが重要です。
【要点2:据付・接合】「目地」こそ命、漏水を防ぐ施工技術
陥没事故の引き金となる「吸い出し」を防ぐ最後の砦が、接合部(目地)です。ここでは以下の手順を徹底させましょう。
ゴム輪のチェックと滑剤の塗布
ゴム輪にねじれや傷がないかを確認し、滑剤を均一に塗布します。滑剤が不足すると、挿入時にゴム輪が巻き込まれ、止水性が損なわれるだけでなく、管口の破損(コバ欠け)にも繋がります。
引き込みは「真っ直ぐ、ゆっくり」
レバーブロック等で管を引き込む際は、管軸に対して真っ直ぐ力をかけます。斜めに引き込むと、片効きしてゴム輪が外れたり、ソケット部が割れたりします。
接合確認の徹底
接合後は、「検尺棒」などを使って、ゴム輪が正しい位置に収まっているか、隙間規定値通りかを全箇所チェックし、写真管理を行います。
【要点3:埋め戻し】管を傷めず、空洞を残さない丁寧な仕上げ
最も事故が起きやすいのが、この埋め戻し工程です。
「片締め」の防止
管の片側からだけ土を入れると、土圧で管が横にズレたり、回転したりしてしまいます。必ず管の左右両側から均等に土を投入し、高さを揃えながら締め固めていくのが鉄則です。
管側部(わき)の突き固め
ヒューム管の弱点は、管の下側(ハンチ部)に隙間ができやすいことです。ここに空洞が残ると、管の支持力が発揮されません。タンパや足を使って、管の下側に土を押し込むように入念に突き固めを行います。ここがプロの仕事の見せ所です。
現場の安全と効率を両立させるために

ヒューム管は重量物です(φ600mmでも1本あたり数百kg〜1t近くになります)。品質管理と同時に、労働災害防止も欠かせません。
玉掛けの確認
専用の吊り具を使用し、偏荷重にならないよう吊り上げます。ワイヤーの点検は毎朝必ず行います。
掘削内作業のルール
接合のために作業員が溝の中に入ります。土止め支保工の設置基準を遵守し、深さが1.5mを超える場合は昇降設備を設けるなど、崩落事故防止を徹底します。
安全な現場でこそ、丁寧な良い仕事が生まれるのです。
まとめ:確かな技術が、地域の安全を守るインフラになる

数年前に起きた大規模な道路陥没事故のように、インフラの老朽化や施工不良は、時に甚大な被害をもたらします。
雨水排水路のヒューム管設置工事は、決して派手な仕事ではありません。
しかし、見えない地中で「水害から街を守り」「道路の安全を支える」という、極めて重要な役割を担っています。
・基礎の支持力を確保する
・接合部の止水を完璧にする
・埋め戻しで空洞を残さない
これら当たり前のことを、当たり前に、高いレベルでやり続ける。 その積み重ねが、発注者様からの「あの会社なら大丈夫だ」という信頼に変わり、ひいては地域の安全を守ることに繋がります。
弊社では、熟練の技術者が一つひとつの工程に責任を持ち、見えない部分こそ徹底した品質管理で施工を行っております。 難易度の高い現場や、確実な施工が求められる案件がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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